リビア情勢がエネルギー市場に与える影響

リビアでは激しい武力衝突が続いており、内戦状態が継続。今回の騒乱がエネルギー市場に与える影響を分析してみた。

リビア原油生産量は日量約1.6百万バレルで、その内日量約1.4百万バレルが輸出される。品質(性状)的には石油化学原料や燃料に使われる。主要輸出先は、イタリア・ドイツ・フランス・スペイン等の地中海域のヨーロッパ諸国で、約75%が供給される(ヨーロッパ消費量の約1割弱、イタリア消費量の約3割弱)。現状はその生産量が、リビア国営石油・フランスTotal社によると、日量0.2-0.5百万バレルまで落ち込んでいる。ヨーロッパの原油市場には大きな痛手だ。しかも、騒乱が終わったとしてもしばらくはエネルギー企業は同国で操業を再開できないだろう。

サウジアラビアが代わりに供給すると言っても品質が違うので代替しきれない(サウジアラビアの大臣発言として、同国で生産される原油を混合しリビアから供給される原油と類似の品質を持つ原油を供給する旨報じられているが、同質の原油をどの程度生産できるか明確になっていないこともあることから、市場の不安を必ずしも払拭できていない)。

主要油田からの日量生産量は、Es Sider油田が0.5百万バレル(輸出停止)、El Sharara油田が0.3百万バレル(操業中?)、Sarir油田が日量0.2百万バレル(不明)。各油田の場所は http://bit.ly/hbBYW1

リビアのガス生産量は、日量約160億m3で海中パイプラインを通してイタリア経由ヨーロッパに供給される(ヨーロッパ消費量の0.5割以下、イタリアの約1割)。今回の騒乱でパイプラインは停止されたものの、ヨーロッパのガス供給は比較的融通がきくことから影響は軽微かと。